これまで、杖を使って歩くなんて経験したことがありませんでした。
使い方も分からなければ、どっちの足が悪いとどっちの手で持つとか…
何も知らなかった…。
知らないことが当たり前でいたけど、知らないことは幸せだったんだな…と思います。
でも、入院中に歩く練習を始めた頃から杖は自分の身体を支えてくれる
大切なものになりました。
まだ車イスだった頃、杖で歩く練習を始めた最初は4点杖という
地面につく部分が四つ股になっているような形状の杖を使っていました。
その後、よく見る1本の棒状の杖になり、退院する頃には病院内であれば
あまり杖に頼らず浮かせて歩いたりしていました。
でも、それは病院内だからできること…
一歩外に出たら、自分の身体のことを知ってくれている人はいない状況です。
もし、退院するまでにもう少ししっかり歩けるようになったとしても…
よっぽど、しっかり動けて何の心配もないというような状態じゃないと怖いな…と思っていました。
自分には手足に麻痺があって、見た目以上に足は弱々しくてしっかり歩けない…
それを何も知らない人からも分かってもらうために杖を使うっていうのもアリなのかな…
と考えるようになり、退院前には自分の杖を購入していました。
(入院中に使っていた杖は病院から借りていたものでした)
退院後、今も外を歩くときは杖を使っています。
それほど杖に頼っているわけではないですが、フラつきそうになったときに支えることがあります。
杖を使っていると、コンビニに入るときにドアを開けて押さえていてくれる人がいたり、
エレベーターを乗り降りるときに気遣ってくれる人がいたりします。
そんなとき、感謝する気持ちはもちろんですが、とても安心します…
気づいてくれた、助けてもらえた、という安心感です。
身体がしっかりしていない分、とても怖かったり不安だったりもするんです。
そして、同名半盲のため視界が狭く見えづらいことでの怖さもあります。
高齢者には見えないだろうし、それほど辛そうに歩いてるようにも
見えないかもしれないけど…。
外見じゃ、不安を抱えながら歩いてるなんて分からなくても仕方ないです。
でも、杖を使っている…という外見で、助けてもらえたりします。
杖は、私の身体の弱い部分を支えてくれるだけじゃなく、
不安な気持ちも支えてくれているものなのかもしれません。
そんな杖に、いつまでも頼りっぱなしじゃなく、卒業も出来るように…日々頑張っています。