起きてから、まずは看護師から色んな確認がありました。
名前、生年月日、今日の日付、今いる場所を聞かれました。
そして、
「右手を上げてみてください…はい、次は左手を上げてください。」
『…左手?動かせない…??』
「左足を動かせますか?」
『…左足?…力が入らない…??』
しばらくして、医師が来ました。
「残念ながら悪化したようです…左側に麻痺が出ていますね。目の見え方はどうですか?」
『…なんだか、ぼんやりしているというか…くっきりはっきり見えているとは言えないな…』
「左側が見えにくかったりしませんか?」
『…そういえば、スマホで文字を打っていると最初の文字(左端)辺りが分からなくなる…』
入院したことを連絡した人たちに、
昨日より悪化していて左手足が動かないこと、目が見えにくいことを伝えました。
スマホは、右手でしか持てないので置いた状態で文字を打つのですが、
画面も見えにくいし、打った文字も見えにくい…
勘で打っているような状態でした。
ベッドを起こしてもらっていても横になっていても体勢が辛いし、
目も疲れてしまって、長く操作することが出来ません。
左足が動かないので、トイレにさえ自分で行くことができない…
ベッドから車イスに移るのも介助してもらう状態。
ほぼ一日中ベッドで横になったまま、
『…これからどうなるんだろう…手や足はいつ動くんだろう…』
そんなことを考えていたような気もしますが、自分でも現状がよく分かっていない状態でした。
病室の状況もよく分かっていなかったけど、自分の他に2~3人いるような感じでした。
夜になると、病棟内を看護師たちが忙しそうに行き来していたり、
他の病室から泣いているような声が聞こえてきたり、
外から救急車の音がしたり…
そんな中、病室に来ていた看護師が他の患者と話しているのが聞こえてきました。
詳しくは分からなかったけど、会話しながら看護師が患者を励ましているような感じでした。
そして、聞こえてきたことが…
「病気になって、急に身体が動かなくなって…
どうして自分が? なんで私が?
…って悲しくなるのは仕方ないと思うんだけどね。
ここにはね、生死をさまよい続けている人だっているのよ…。
だからね、リハビリ頑張ったら動くようになるとか…
少しでも良くなる可能性がある人たちには、頑張ってほしいんだ…。」
『…そうだよね…リハビリ頑張ったら、きっと動けるようになるよね…
このまま、出来ることが何もないわけじゃないし、動く可能性があることがあるなら
それをやればいいんだ…早くリハビリ始まらないかな…』
そんなふうに思えてきました。
そのときの看護師がどんな人だったか分からないけど、
そんなお話をしてくれて聞けることが出来て、本当に良かったな…
と、今でも思います。